東京都が5年ごとに行っている

保育士の離職防止策や

潜在保育士の就職支援策等に活かすための

保育士有資格者を対象とした実態調査

から気になる報告をご紹介します。

出展元：東京都福祉局HP　令和4年度東京都保育士実態調査結果（報告書）

https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/shikaku/r4hoikushichousa.html

＜調査概要等＞

【対象】平成29年4月～令和4年3月までの保育士登録者

【調査期間】平成4年7月25日～令和4年8月14日

【有効回収数】18,239件（有効回収率39.7%：宛先不明6,926件を除く。）

 

１．保育士資格の取得方法

専門、短大、大学などの養成施設での資格取得：56.4％

（平成25年調査では74.1％）

保育士試験での資格取得：43.5％

(平成25年の調査では24.9％）

 

過去の調査と比較してみると、全体として「保育士試験」が増加し続けている一方で、養成学校での資格取得割合は減少し続けています。

平成27年度より地域限定保育士試験を、平成28年度より通常の保育士試験についても年２回目の試験を実施し、資格取得の間口が広がったことも一因として考えられます。

 

２．職場選択で重要視するもの（複数回答）

勤務地（自宅から近い）　72.3％

職場の人間関係　51.9%

給与が高いこと　38.5％

休暇が多い、とりやすい　36.9％

勤務時間、シフト制の融通の効きやすさ　36.5％

保育理念への共感   35.9%

福利厚生の充実  35.3%

やりがい  34.7%

 

通いやすさや人間関係は毎日のことなので重要視しているのも納得です。

 

３．現在の職場で改善を希望する項目（複数回答）

給与・賞与改善　62.7％

職員数の増員　48.6％

事務・雑用の軽減　40.1％

職員間のコミュニケーション　26.8％

シフトの改善　25.1％

未消化休暇の改善　25.1％

相談体制の充実　17.9％

責任範囲の縮小　15.3％

 

と大きなうなずきで共感する方も多いのではないでしょうか。

リアルな現場の声、という気がします。

ほかには「評価制度の見直し」「権限範囲の拡大」というのもありました。

運営側の法人規模や体制によっても思うところはありそうです。

 

４．今後も保育士として働き続けたいか（複数回答）

今後も保育士として 働き続けたい 78.7%

今後は保育士を辞め、保育士以外の職種で働きたい　19.4％

今後は保育 士を辞め、働かないつもりだ　9％

 

約2割の方は退職意向を持っていました。

これは平成25年の調査、平成30年の調査と比べても割合に差はありません。

どのような業種・職種でも自分に合っているかどうかは働いてみないと分からないところもあります。

 

５．資格があるのに保育士としての就業経験がない方の理由

幼稚園での勤務を希望した　20.9％

希望する給与等待遇の求人がなかった　19.2％

別の職種を希望した　19.2％

 

６．就業経験がない方が保育士として就業する場合の希望条件

給与等　74.6％

勤務時間　70.5％　

勤務日数（週）57.6％

通勤時間（片道）48.5％

 

一方、「どのような条件でも保育士として働くつもりはない」と答えた方は 2.8％にとどまり、現在未就業者であっても条件次第で就業に繋がる可能性がありそうです。

 

また保育士退職意向理由について過去の調査と比較してみると、全体として平成25年の調査→平成30年の調査の増加から一転して減少している項目があります。

労働時間が長い　平成30年：47.4％→令和4年：35.4％とが12.0％減

仕事量が多い　　平成30年：61.9％→令和4年：54.0％　と7.9％減

 

と改善傾向が伺えます。

 

保育士不足といわれる昨今の状況では、ほとんどの園で保育士さんの採用には苦労しているところが多いです。求人票を見ても未経験やブランクもウェルカムのところもたくさん見かけます。またパートさんでは「一日2時間から」「週3日から」「朝だけ」「夜だけ」等働き方も様々です。地域に根差している保育園という業種は自宅から近くで探しやすい傾向にあるので、ご自身が居心地よく働ける職場と出会えるといいですね！